| お米を炊いているときから、香りに違いを感じます。
“ネバリのある香り”とでもいいましょうか・・・ |
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もう、お米を炊いているときから、香りの違いがわかります。
シューっと音を立てて吹き上がる蒸気の音にも
音とともに立ち込める香にも、既に粘りを感じます。
釜を開けた瞬間から、もう、米の味があたりに広がり、
そして、口に含むと、米の粒のシャッキとした食感の後に、
みずみずしさとお米の甘みが口いっぱいに広がります。
お米だけで食べるのが一番の贅沢かもしれません。
岩手県奥州市で、佐々木文雄さんとその奥さんの
萬壽子(ますこ)さんが育てる“ひとめぼれ”。
もう60年以上も、お二人で米作りを営んでいます。
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平成の大合併で、今年(平成17年)の6月から奥州市となった旧水沢市の石田地区。
合併で同じ奥州市となった胆沢町(いさわちょう)との境界にほど近いのどかな農村地域。
ですから、旧水沢市といっても、そのニオイは胆沢のニオイが漂います。
胆沢町といえば、かつて、田舎であることを恥ずかしがらず、
“日本一の田舎”を目標にしたまちづくりに取り組んだことがある町です。
ですから、思いっきり田舎です。
日本三大散居集落の一つでもある、この地域は、その景観も見事な田舎っぷりを主張。
多くを語らない岩手とは、おおよそ思えないような堂々としたものです。
奥羽山脈の焼石連峰から西に広がるおっきな扇状地に位置する、
東北でも最大級の穀倉地帯。
地名そのままの胆沢平野は、その大地の持つ肥沃さに加え、
奥羽山脈から土や鉱物の栄養分をたらふく吸収した水が胆沢川となって流れ込みます。

そんな、胆沢平野の大自然の中で、淡々とひとめぼれを育てています。
作付けは、いろいろ変えてきたとのことですが、
冷害への強さと、味とのバランスとを考えた結果、
そこに落ち着いたんだそうです。

佐々木文雄さんは言います。
“River runs through it.and,Here is best position.”
もちろん、ご本人がおっしゃるのは、軽く、方言を含んだ言葉で、
“水がなぁ、いいんだ、こごは。ちょうど、ぬるぐなってなぁ”
“山の方さいげば、水がはっけくてわがねくてな”
“して、こごより、下の方さいげば、まぢになるがらな”
通訳すると、
「ここは、水がすばらしい。水温も、ほどよく温かい」
「山に近づけば、水が冷たくて、決して、稲にはいいとはいえない」
「そして、ここより、下流に行くと、街に近いので、環境が劣る」
まるで、自分はただ運が良くて、自然に任せていい米が出来るかのように謙虚に語ります。
謙虚というよりも、もう、自分のこだわりは、当たり前のことで、特別なこととは思っていないんです。
同じ環境で米作りをする方々の中でも、
佐々木文雄さんは、面積当たりの収穫量では、ナンバーワンで表彰されたこともあるほどです。
ですから、とっても細かな配慮を続けながら、米作りにいそしんでいるんです。
稲刈りが終わった後も、高熱高速の乾燥は味が落ちるから、低温でゆっくりと行うそうです。
そんな一手間を惜しんで、それまでの手間を台無しにする人の方が信じられないといいます。
貯蔵は、もみのままで行い、出荷毎に精米を行います。
そうすることによって、新米の時の新鮮な風味を保つことが出来るといいます。
だから、文雄さんちからお届けするお米の味わいは、いつでも旬の味なんです。

佐々木文雄さんは言います。
“食って欲しいのは、米っつぅより、つぢだの水ばりだぁ”
通訳すると、
「食べていただきたいのは、米というよりもむしろ、土であり水です。」
文雄さんがお届けしたいのは、米そもものというよりむしろ、
米から伝わる、 岩手の大地が醸し出す香りなんです。
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